今回のテーマ~《「扇の種類」》
能で使う扇には大きく分けて中啓(ちゅうけい)と鎮折(しずめおり)の2種類があり、それぞれに図柄・骨の色によってたくさんの種類があります。 装束を着た役者は基本的に中啓を持ち、それ以外の地謡・後見や、仕舞・舞囃子シテは鎮折を使います。 中啓とは扇をたたんだ状態でも中程から末広がりに啓いて作られている扇です。 中啓には骨の色に二種類あり、白骨・黒骨と言われます。 白骨には神扇・男扇・尉扇(じょうおうぎ)。黒骨には修羅扇(しゅらおうぎ)・鬘扇(かつらおうぎ)・童扇(わらべおうぎ)等があります。 白骨は神体や老人。直面物(能面をかけない)の男性が持ち、黒骨は能面をかけた男性や鬼。女性の役に使います。 鎮折とは「仕舞扇」のことで、扇の先を強く圧し鎮めた形をしているためこう呼ばれます。本来決まった図柄は数えるほどしか無かったようです。 1.修羅扇 勝修羅扇(かちしゅらおうぎ)と負修羅扇(まけしゅらおうぎ)があり、勝修羅は「田村」「屋島」「箙」(えびら)の三曲にのみ使い、負修羅は「経正」「頼政」などです。 2.鬘扇(かつらおうぎ) 紅入(いろいり)と紅無(いろなし)があり、若い女性で装束に赤が入っているときは紅入。年配の女性で赤の入っていない装束の時は紅無を使います。 |
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能の雑知識