今回のテーマ〜《「能の番組について」》
能の雑知識
能では曲を数えるときに一曲、二曲とは数えずに一番、二番と数えます。 このため一日のプログラムを「番組」(番を組み合わせる)と言うわけです。 今では能の会も一日一番から三番程度の番組が多くなっていますが、昔は五番以上、しかもそれを数日間と言うような催しが多かったようです。 本来は一番最初に「翁(おきな)」と言う儀式曲が演じられ、初番目脇能物がそれに続きます。翁はその会の当主が勤め、脇能も本来は、翁と同じ人が続けてシテを勤めますが、最近では別の人が勤めることも珍しくありません。 脇能は「序」として位置付けられ、観客がまだ本当に能を観る雰囲気になっていないので、素直な筋であまりややこしくなく、めでたい内容がの曲が中心です。 二番目は「修羅物」。武人を主人公として強さと雅やかさを全面に出した曲の構成になっており、伸び盛りの若手が颯爽と演ずることが多い。 序の名残を留めている位置付けで、「破の序」と言われています。 三番目は充実した気力・体力が求められる為に、その日一番の役者が勤めるならわしのようです。 四番目「狂女物」は経験豊富なベテランが面白くスッキリと舞い上げるのが良いとされています。 五番目物を「急」と言い、最後・しめくくりの曲となります。「急」はそれをやりつくすフィナーレを飾る演出となります。 急調の舞、激しい動きなどで観客の目を驚かし、一気に最後まで持っていく。 これでお客様も「ああ最後までも面白かった!」ですっきりとお帰りになるのが良い番組立てとされていたのでしょう。 公演の番組立てを考えながら能を観るのも楽しいと思います。組み合わせも気にしてみてください。 |