能の雑知識

今回のテーマ〜《「能楽師の初舞台」

▽能楽師の家に生まれると、お母さんのお腹の中にいる時から、謡やお囃子を聞いて育っていますから、よほどのことがなければ、見よう見まねでやるようです。

お父さんが「師匠」だと反抗期の関係もあり、職分家の後継者は宗家(お家元)に内弟子に入ったり、他家の能楽師に弟子入りするようです。


▽狂言の茂山家は、「祖父が孫に稽古をつける」伝統があるそうです。
やはり、父子の葛藤をさけるための知恵だそうです。


▽さて、能楽師の初舞台ですが、仕舞いは別として、3〜4歳ころに、『鞍馬天狗』の「花見の稚児」でのデビューが多いようです。
 
とりあえず、装束をつけて、ワキ僧とゾロゾロ舞台に出るだけで、謡も詞〔ことば〕もついていませんから、慣らし、という感じでしょう。


▽あとは、「牛若丸」などの子方を演じ、『合甫〔かっぽ〕』や『花月』などのシテをつとめるところから、本格的になってきます。

体格が小さいうちは、能面がかけられませんから、直面で演じます。体格や声(変声期)ができあがり、芸が備わってくるにつれて、その時々にあった曲目をマスターしてゆくようです。

☆直面とは何も面をつけないことです。代表曲として芦刈がある。