能曲目解説

▽登場人物 

前シテ  花子(はなご)  

後シテ 班女=花子

ワキ  吉田少将

ワキツレ 従者

アイ    野上宿の長(女)

▽面  ❒前シテ 小面  
     ❒後シテ 小面

▽分類   四番目物、狂女物

▽形式  現在能 二場
▽あらすじ
美濃国野上の宿に、花子という遊女がいました。ある時、吉田少将という人が東国へ行く折に投宿し、花子と恋に落ち、お互いに扇を交換して、将来を約束して別れます。

それ以来、花子は少将を想って毎日扇を眺めて暮らし、宴席の勤めに出なくなります。野上の宿の女主人は、人から班女というあだ名で呼ばれる花子を苦々しく思い、宿から追い出してしまいます。

東国からの帰途、吉田少将は再び野上の宿を訪れますが、花子がすでにいないと知り、落胆します。失意のうちに京の都へ帰った少将は、糺ノ森の下賀茂神社に参詣します。

その場に、偶然にも班女すなわち花子が現れます。宿を追い出された花子は、少将に恋焦がれるあまり、狂女の班女となってさまよい歩き、京の都にたどり着いていたのです。

恋の願いを叶え給えと神に祈る班女に、少将の従者が声をかけ、面白く狂って見せよといいます。班女は、その心ない言葉に誘われるように心を乱し始めます。少将と取り交わした形見の扇を手に、あてにならない少将の言葉を嘆き、独り身の寂しさを訴えながら、舞を舞います。

扇を操り舞うほどに心乱れ、班女は、逢わずにいればいるほどつのる恋心を顕わにして、涙にくれるのでした。

それを見ていた少将は班女の持つ扇が気になり、扇を見せるよう頼みます。黄昏時の暗い中、少将と花子はお互いの持つ扇を見て、捜し求めていた恋人であることを確かめ、喜び合うのでした。

❑『班女』

小書き~笹之伝
( ※観世流、金剛流 )
~観世流~
▽主な場面

詳しい解説は、ここをクリックして下さい

鑑賞ポイント解説
▽見どころ
班女 謡はこちらへ