能曲目解説


▽あらすじ


夢のお告げを受けた一条天皇の命により、勅使の橘道成は、刀匠として名高い三條小鍛冶宗近のもとを訪れ、剣を打つよう命じます。
宗近は、自分と同様の力を持った相鎚を打つ者がいないために打ち切れない、と訴えますが、道成は聞き入れません。進退きわまった宗近は、氏神の稲荷明神に助けを求めて参詣します。そこで宗近は、不思議な少年に声をかけられます。
少年は、剣の威徳を称える中国の故事や日本武尊(やまとたけるのみこと)の物語を語って宗近を励まし、相鎚を勤めようと約束して稲荷山に消えていきました。

家に帰った宗近が身支度をすませて鍛冶壇に上がり、礼拝していると稲荷明神のご神体が狐の精霊の姿で現れ、「相鎚を勤める」と告げます。先ほどの少年は、稲荷明神の化身だったのです。明神の相鎚を得た宗近は、無事に剣を鍛え上げました。
こうして表には「小鍛冶宗近」の銘、裏にはご神体が弟子を勤めた証の「小狐」の銘という、ふたつの銘が刻まれた名剣「小狐丸」が出来上がったのです。明神は小狐丸を勅使に捧げた後、雲に乗って稲荷の峯に帰っていきました。
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鑑賞ポイント解説

❑「小鍛冶」

▽主な場面
▽登場人物 

前シテ 童子   後シテ 稲荷明神
○ワキ  三条宗近
○ワキツレ 橘道成  

▽面  前シテ 童子  後シテ 小飛出

▽分類  五番目物 (切能)

▽形式  複式夢幻能
稲荷明神と「相鎚」。
宗近は、不思議な少年に声をかけられます。

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▽見どころ