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▽登場人物
●前シテ 氷室寺の翁 ●後シテ 氷室の神 ○ツレ 男 ○後ツレ 天女
○ワキ 臣下
○ワキツレ 従者
○アイ 末社
▽面 ○前シテ 小尉
※「尉」は老人の意味で、「尉」がつく面は老人の面といえる。老人以上の神霊的な力を感じさせる。
○後シテ 小(こ)べし見
※「べしむ」というのは、口を真一文字に強く結んでいる様を表わしています。
○後ツレ 小面
▽分類 初番目物 脇能
▽形式 複式夢幻能
▽主な場面
▽あらすじ
亀山院(第90代天皇)の臣下が従者を連れて、丹後国九世戸から都に帰る途中に、丹波路の氷室山を通りかかります。すると老人が連れのものと共に氷室山の景色について話しています。臣下の求めに応じて、老人は宮中に献上する氷室の起源やその場所を教え、氷室の供御の威徳や御調物としての氷のすばらしさを語ります。さらに、老人は、今夜、氷をお供えする神事があるので待っているように言って、氷室の中に消えてしまいます。
<中入>
夜になると、天女が出現し舞を舞い、老人の消えた氷室の中から氷室明神が姿を現し、氷室明神の社人が仲間と共に雪乞いをして雪を丸め、氷室明神に納めます。氷室明神は氷とその供御調物を守護し、祝福します。老人は実は氷室明神の化身でした。
語りの中に涼しさいっぱいという感じです。間狂言は、近くの神社の神職が雪を降らせて、雪を丸めるという設定で、これも涼しさを さそいます。暑い夏にはぴったりの曲目でしょう。
▽見どころ
☆老人は宮中に献上する氷室の起源やその場所などを語る。