▽面 ❃前シテ 童子。 ※少年の姿をした妖精を表す面といわれる。おかっぱ頭で、口元が上がり、笑みを含んだ明るい表情が特徴的。
❃後シテ 黒髭。※大きく開いた口からは舌が覗き、金具の入った目の縁は黒々としている。黒い口ヒゲとしゃくれアゴが印象的。
▽主なあらすじ
今上の帝にお仕えする勅使(ワキ)が、従者(ワキツレ)とともに摂州津守の浦(住吉)に向っている。 新たに市を立て、高麗や唐土の宝を買い取るようにとの、帝の勅命を受けたためだ。勅使一行が津守の浦に着くと、そこに童子(シテ)が従者(ツレ)と共に現れる。唐人風の姿をしているにもかかわらず、話しているのは大和言葉。しかも、宝珠載せた金の輪を持っている。
不思議に思った従者が、童子に問かけると、童子は自らの正体を明かすことはせず、ただ、今上の帝の治世を祝うため、竜女の宝珠を献上品として持参したのだと答える。竜女の宝珠とは、すなわち、何事も心のままに珍宝を生み出すという、世に聞こえた「如意宝珠」のこと。それを我が帝へ献上すると聞いて感激した勅使は、童子に心を許し、津守の浦に立つ市のことや、辺りの情景景などについて言葉を交わしはじめる。
話しも興に乗ってきた時、童子は突然、「帝に献上する喜見城(極楽)の宝物を積載した天の岩舟が、天上からやって来る」と口にし、勅使を驚かせる。さらに童子は「自分は岩舟を漕ぐ天の探女である」と名乗り、宝を積んだ舟を漕ぎ寄せようといったかと思うと、嵐のように消え去る。
天の探女が消えてしばらくすると、海中から竜神(後シテ)が登場する。こちらは喜見城の宝が天上から届くと聞き、岩舟が津守の浦に無事に着けるよう、守護するためにやってきたのである。
竜神は八大竜王とともに、天の岩舟の手綱を手に巻き着け、津守の浦に無事に接岸させる。そして舟から運び出した財宝を山のように積み上げると、帝の治世を寿ぎ、幾久しく守護することを誓うのであった。
☆海中から竜神(後シテ)が
▽主な場面
▽曲柄 ◎初番目物 脇能.
▽登場人物
❁前シテ 童子 ❁シテツレ従者 ❁ワキ 勅使 ○ワキツレ 従者 ❁後シテ 龍神
▽形式 ◎複式夢幻能
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▽見どころ