能曲目解説

❑『黒塚

▽主な場面
~喜多流~
▽登場人物  

シテ:前シテ 里の女  後シテ:鬼女

○ワキ :山伏(祐慶)

○ワキツレ :同行の山伏

▽あらすじ

紀伊国那智の修験者、阿闍梨祐慶(あじゃりゆうけい)は、同行の山伏 らと共に、諸国を巡る修行の旅を続けていました。ある日、陸奥に辿り着いた一行は、人里離れた安達原で夕暮れを迎え てしまいます。そこに一軒だけあったあばら家を訪ねたところ、相応に年齢を重ねたと見える、女の一人住まいでした。祐慶たちは、女に一夜の宿を頼みます が、あまりにもみすぼらしいから、といったん断られます。あてのない一行は重ねて頼み込み、何とか泊めてもらうことになりました。

家の中で祐慶は、見慣れない道具を見つけ、女に尋ねます。すると女は、枠桛輪(わくかせわ)という糸繰りの道具 であり、自分のような賎しい身分の者が取り扱うのであると答え、祐慶の求めに応じて糸繰りの様子を見せます。女は、辛い浮き世の業から離れられない我が身 を嘆き、儚い世をしみじみ語ります。夜も更け、女は夜寒をしのぐために薪を取りに行くと祐慶に告げ、留守中に決して自分の寝室を覗かないようにと念押しし て出ていきます。

ところが祐慶の従者のひとりは我慢できず、祐慶に戒められながらも、とうとう女の部屋を覗いてしまいます。すると、そこにはおびただしい数の死骸が山のように積まれているではありませんか。女は、安達原の黒塚に住むと噂にのぼっていた鬼でした。

慌てて逃げ出す祐慶たちに、鬼に変身した女が、秘密を暴かれた怒りに燃えて追いかけ、取って食らおうとします。しかし祐慶の調伏に屈し次第に魔力も弱り、最後は夜風にまぎれて消え失せます。
以上
▽分類  四・五番目物
女は糸を繰り、ときに手を休めて境遇を嘆き、涙を流し、人のはかなさや六道輪廻の苦しみを嘆きます。
鬼女と山伏の戦い・・・・・「祈り」

▽面  ❒前シテ  深井   ●後シテ  般若   

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鑑賞ポイント解説
▽見どころ
▽形式  複式夢幻能
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