▽登場人物
○ シテ:自然居士
○ 子方:子供(観世流では少女)
○ワキ、ワキツレ:人商人
○アイ:雲居寺門前の者
▽面 ●シテ:喝食 "
▽曲柄 四番目物(雑能)
▽形式 現在能
▽主な場面
▽主なあらすじ
ワキ方(人商人)が、京都で子どもを買ったこと、その子どもが少しばかり暇をくれといったので、くれてやったことなどを説明し、舞台に登場する。
雲居寺門前の男(アイ)が登場し、自然居士が雲居寺造営のため七日間の説法を行っていること、今日が結願の日であると告げ、皆々参集するように呼びかけている。やがて自然居士が登場し、説法を始めると、一人の子供が、小袖を供え、両親追善のために読経を願う文(諷誦(ふじゅ)文)を持って来ます。居士はその文を開き読み上げます。
そこへ二人の人商人が現れ、昨日買い取った子供がまだ戻らないので探していると言い、子供を見つけると引き立てて行きます。子供が自分の身を売って求め得た小袖を、布施に供えたことがわかり、自然居士も集まった人々もその哀れさに同情の涙をもよおします
自然居士は仏法修行をここで捨ててでも、少女を救おうと結願目前の説法を中止し、小袖を抱えて人商人たちの後を追います。そして、大津の浜でちょうど船出しようとしている人商人たちに追いつきます。自然居士は、小袖を投げ返し、着物の裾を波に濡らして舟にすがりついて引き止め、子供を戻してくれるように頼みます。しかし、人商人は、一度買ったらもう戻さぬのが決まりとうそぶきます。居士は、不幸せな者を救うことができないなら、雲居寺には戻らぬ、この少女とともに陸奥国まで行こう、たとえ命を取られても舟からは降りぬと答えます。
自然居士の気迫に押され気味の人商人は、どうしても子供を返して欲しいなら、今ここであれこれ芸をやってみせろと迫り、自然居士なぶりに転じます。
居士はよかろうと言って、芸尽くしを始めます。中之舞から曲舞を舞い、ササラをすり、羯鼓を打って、舞に舞います。こうして、やっと人商人から少女を取り戻し、ともに都へ帰ります。
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▽見どころ
☆人商人との問答
☆自然居士