関寺小町より
■【藁屋(わらや)】
能・・・・シテと、ワキ、ツレ、囃子、地謡がいるだけでありながら、情景は地謡によってより鮮明になり、「感情」や「表情」は顔の角度・手の動き・足の運び・動作のスピード等により私達の心に伝えられます。私達の頭のなかでいかようにもアレンジメントが可能であり、狭い舞台も無限の空間へと変わります。能は一見非写実的に思われがちですが、、実に写実的な演劇と言えるでしよう。
限られた舞台空間ということもありますが、本質的に大道具的な“舞台装置”を必要としないのでしょう。
山や家、船や立ち木など物語を進めるにあたって、どうしても必要と思われるものは、やむを得ず簡単なセットを使うことがあります、これが「作り物」です。
製作は昔は「作り物方」という専門職がいましたが、今はシテ方の担当です。
上に藁で葺いた屋根が載っている作物で、曲によって色々な飾りを付けたりもします。
何も附けない「景清」や四方を囲って扉を附けた「梅枝」や菊の垣根を附けた「菊慈童」などが有名です。