能の歴史

能の前身は唐時代以降の中国で盛んだった散楽に由来する猿楽にあります。
650年前の室町の頃の能楽は中国から渡ってきた舞楽(散楽)と、奈良時代から大衆が行っていた農耕行事の田楽(豊作を喜び田畑で舞う簡単な舞楽)が混ぜ合わされた大衆芸能・演劇でした。

その後申楽が田楽を制圧し今日の能の基礎を作っていきましました。



室町時代になり当時の実力者である三代将軍足利義満は観阿弥の演劇演出力と世阿弥の美貌(?)に着目したことから観阿弥率いる一座のスポンサーとなりました。

それを機に本格的に演劇として開花していったものと思われます。その後世阿弥は演劇に教養的要素を取り入れ、大衆芸能から幽玄芸能・芸術として今ある能楽の形へ大きく近づけたとされます。

八代将軍義政の東山時代までが草創の全盛時代でした。



戦国時代に入り一時衰微しましたが、豊臣・徳川時代で歴代の権力者のお抱えとなり、能は武家の教養としての側面も持ち発展し、最盛期を迎えることになります。

明治維新・・・そして第二次世界大戦で、衰退の一途をたどりましたが、現代の世相を背景に今日再評価されてきていると言えるでしょう。



650年前に誕生した世界最古の音楽演劇芸能として、2001年5月には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、日本の「能楽」(能と狂言)を「人類の口承および無形遺産の傑作」と宣言しました。これは「世界遺産」の無形文化財版とも言えるものであり、日本の・・という範囲を越えて世界の「能」として位置づけられたとも言えます。